
犬っぽい愛重彼氏×猫っぽい器大きめ彼女の日常HL小説
個人様のご依頼で、犬っぽい愛重彼氏×猫っぽい器大きめ彼女の日常HL小説を執筆いたしました。
概要
ご依頼者様 | 個人様 |
内容 | 犬っぽい愛重彼氏×猫っぽい器大きめ彼女の日常HL小説 |
制作期間 | 約7週間 |
文字数 | 約13000字 |
傾向 | 焼き餅を焼く攻めを「かわいいなあ」と宥めてる受けに、攻めが最終的に絆される |
こだわり
- セクシーかつ甘め雰囲気を心掛け、地の文を多く描写をいたしました。
- 大型犬な攻めと猫っぽい受けという構図を意識して、差を強調をしました。
- 勘違いによって怒りを募らせる攻めが、それに気が付いたときに力関係が変わるシーンを意識しました。
納品物
依頼主様のご厚意により、納品物を公開させていただいております。
本編抜粋(小説ビューワー)
お仕事報告 15
「犬っぽい愛重彼氏×猫っぽい器大きめ彼女の日常HL小説」
本編(抜粋)
吹きすさぶ風は家屋に遮られる。
窓ガラスがひゅう、ひゅーと叩きつける音に、向日葵の意識が一瞬持っていかれる。
『……向日葵ちゃん?』
それを引き戻したのは、イヤホンから聞こえる友人の声だった。
『彼氏さん、帰ってきた?』
重ねて尋ねられたのは同棲している椿のことで、向日葵は慌てて答える。
「あっ、ちゃう、ちゃう。椿はまだ帰ってない。せやけど、風がむっちゃ強くて、音が……」
『そっちも? 引きこもりたくなる天候だよね』
「ほんま、そう。俺はぬくぬくしよるからええけど……あいつ、コート一枚で外出たけど、大丈夫やろうか」
無意識にカーテンの隙間を睨む。曇天による色彩のなさは、寒々しさを感じさせた。
けれど、向日葵に答える声はのんびりと温かい。
『ふふ、本当に二人は仲良しだよね。ラブラブだから、見ていて憧れる』
素直な賞賛の声がくすぐったい。向日葵はルームウェアの肩口で頬をかいた。
「まっ、俺と椿やから、当然やな。いくらでも、俺のかっこいい恋人エピソードは語れるけど、今日の本題はちゃうやろ?」
風に遮られた会話に戻ろうと、友人へ軌道修正を測る。
『あ、たしかに。そうだったね』
相手はのほほんとした口調で頷く。
向日葵は、小さく頷く彼女の姿が目に浮かんで、しゃーない子やなぁと笑みを浮かべた。
現在、向日葵はリビングルームで友人とビデオ通話をしている。同居人である椿は外出中だ。なので彼女はリビングを独占していた。
戻ろうとした本題は、友人からもちかけられた相談だ。彼女は長らくの夢であった犬を飼おうとしていて、動物好きの向日葵に話を聞いてもらいたいと望んだのだった。
『実家に新しい家族を迎え入れたいんだけど、どんな犬を選んだらいいと思う……?』と頼られ、向日葵はドンと胸を叩いて応じた。
向日葵の旧友は思慮深く気遣いができる性格が美点である。真面目で気配りを行き届かせる姿は何度と見てきたから、彼女が言葉の通じない命を預かることに不安はない。
ただ、向日葵違って、やや大人しく、思い切りが足りないところがあった。
そう、彼女が相談を持ち掛けたのは、物事を調べすぎて、情報の海に溺れてしまったからである。
人に相談する段階であるのだから、友人は飼い主になる心構えや常識は抑えていた。
これから家族になる相手の幸せを考えて、保護犬を引き取るか、きちんとしたブリーダーの元から引き取るかで悩んでいたし、そもそもどういう子であればよいのかという根本のところで立ちすくんでしまったのだ。
『……私と相性がいいワンちゃん、いてくれるかな…………』
『どんな子でも、幸せにしてあげたいんだけど……』
向日葵からしてみれば「そんなに心配せんでもアンタならいけるで!」と太鼓判を押したいが、求められているものがそうでないとは理解していた。
「そやねえ……」
イヤホンのコードに指を絡めて、友人を傷付けない言葉を探る。彼女なら、どういう子を迎え入れるのが合うだろうか。
今まで出会ってきた犬達を思い出して、唸る。
「まずやけど、保護犬は警戒心が強いんが一般的やと思うんよ。みんながみんな、人間に優しくしてもらえたわけとちゃうし。せやから、初めてならブリーダーの元から引き取るのがええんと違う?」
膠着状態の会話を進めるために、向日葵は口を動かし続けた。
「あんたとの相性を考えるんやったら、大人しいワンコがええと思う。こう、忠犬! 人の言うこときくんが嬉しい!! ってタイプ」
『人間に、忠実な、こ……』
友人の性格も考えてアドバイスをする。
「そうそう、人懐っこい犬種の中から探して、迎え入れたら子犬のときからいっぱい褒めてあげるんよ。人間と一緒で、いい子いい子されたら嬉しゅうなるやん!」
『褒めて伸ばす教育、ってこと……?』
「なんか子育てみたいな話になってきたけど、変わらんか」
『人もワンちゃんも、怒られるより、暗い顔をされるより、褒められたほうが安心するよね』
「そうそう、そうやで。で、うちもたまに遊びに行くから、膝の上に乗ってきてほしいわ」
友人との会話が弾む。実現できるかどうかは置いておいて、好き勝手に未来の話をしているときが、一番楽しいのだ。
『少し話しただけだけど……なんだか上手くいきそう気がしてきた。……たしかに出逢えるなら、お腹を見せくれるみたいな、無邪気なワンちゃんだったら一緒に暮らしていけそう』
友人の強張っていた声から、ようやく固さが抜ける。彼女の思考が楽観的に寄ってきたことが喜ばしかった。
なのに。
向日葵は座り心地が悪くなって、ソファに身体を埋めなおす。
「せやけど、警戒心強いタイプもええと思うよ。毛逆立て威嚇する姿もかわええし、そういう子が心許して擦り寄ってきたら、世界で一番愛しとるって気持ちになるやん」
少しばかりムキになって、長めの反論を返す。向日葵だって、友達の意見を全否定したいわけじゃないが、どうしても引っかかったのだ。
なぜなら向日葵自身は警戒心が強いタイプもかわいいとは思っているからだ。言うまでもなく、椿さんと重ねて。
脳裏に恋人の姿を重ねた台詞だったが、友人は素直に感銘を受けたようだった。
「それもそうかも……、確かに、向日葵ちゃん、いいこと言うね……それも、その子の個性なんだから、一概には判断できないか……」
慎重な友人は言葉を紡ぎながら、探るように虚空に視線を左右させる。画面越しでも分かるぐらい、彼女は悩みこんでしまった。一分、三分、五分と沈黙が続き、友人はごめんねと謝罪を零す。
「いや、ええって。それだけ真剣に向き合ってるってことやろ?」
『……向日葵ちゃんは、付き合っていくとしたらどんなタイプがオススメだって考える?』
「え? うーん、そやなぁ……」
今度は向日葵が言葉に詰まる番だった。友人と自身では性格が違いすぎるから、単純に向日葵の好みを伝えるわけにはいかない。
サイドの緑髪を指にくるりと巻き付け、考えながら喋り出す。
「…………やっぱ、大人しいタイプやない? 従順、って感じ? 理想なんは」
わんぱくなタイプは論外、友人が振り回されて泣いている姿が目に浮かぶ。
「そりゃ、悪いことしたら叱らんといかんけど、あんたは怒ったりするん苦手やろ。穏やかで、言うことよおきくほうがええって。泣いてるところ、見たあないし」
『うんうん』
友人が性に合わず大きく頷くので、向日葵は言葉を止めることができなかった。
「体型? 体格? は、中ぐらい。あんま大きいと身体がキツくなるって。毎日付き合わんといかんし」
『大型犬は散歩が大変だもんね……日頃は両親が公園とかに連れていく予定なの』
「うんうん。俺はおっきいほうが好きやけど、そのほうが抱きしめがいあるし、」
『もふもふには憧れるけど、万が一、大きいわんちゃんにタックルされたら……って思ったら怖くて……』
「あはは、そやな、突っ込まれるときは大変やな」
真剣なのだから、笑ったままではいけないと考え直す。真面目に聞こえるように声を潜めた。
「せやけど、小さいよりは大きいほうがええと思わん? 小さいと折る? というか怪我させてまいそうやけど、大きいとその心配もないやろ?」
「どちらにしろ、待てができるんは必須やけど」
なおこの言動は、向日葵の趣味はさておいたものである。友人と友人の飼い犬の幸せを願う場で自分の意見を押し通すほど、無粋じゃない。我を強くして甘える相手は椿だけでいい、と向日葵は考えていたからだ。
『向日葵ちゃんが小型犬を押すとは思ってなかったな。意外』
「えーー?」
『だって、前、ゴールデンレトリバーをわしゃわしゃ撫で回してたから。大きいワンちゃんも小さいワンちゃん、どっちを選ぶの?』
すっかり緊張がとけた友人が、小悪魔的な笑みでいじわるを言う。
彼女の悩みが解決しそうだと安心して、向日葵は芝居がかった口調で答える。
「いやでも、悩むわぁ。たまには大人しいんと遊びたい気持ちはあるので。今まであってきた子のことは忘れてな」
荒れた風とともに、玄関の扉に身体を滑り込ませる。はぁ……と自身の手に白い息を吐いてから、椿は静かに鍵をかけた。かじかんだ指先がぎこちなく動く。帰宅した安堵感はあるものの、気温に合わぬ服装をしていた椿はは冷たい疲労を抱えている。
大きな原因は天気予報が外れたせいだったが、電車が遅延したり、着ぶくれした人混みに巻き込まれたりと巡り合わせが悪い一日であった。
指先を踵に引っかけて、靴を脱ぐ。頭を上げたとき、彼の耳が喋り声を拾う。恋人は誰かと通話しているようだった。明確な内容は聞き取れないが、彼女の声が弾んでいることは分かって、椿がつい口角を上げる。愛しい人が楽しげなのは喜ばしかったからだ。足音を消して、静かにリビングに近寄っていく。
ただいまは口パクで言おうと思いながら、ドアノブを握る。冷えた感触に眉をしかめたときだった。
「――大人しいタイプやない? 従順、って感じ? 理想なんは」
向日葵の言葉に、時が、いや、椿の息が止まった気さえした。爪先が凍り付いて、開こうとしたドアが重く感じる。
脳が思考を止めてしまったせいで、椿は会話の一部を聞き逃したが、彼はそんなこと些末に思えてしまう。
「体型? 体格? は、中ぐらい。あんま大きいと身体がキツくなるって。毎日付き合わんといかんし」
「うん……俺はおっきいほうが好きやけど……そのほうが……」
「あはは、そやな、突っ込まれるときは大変やな」
「どちらにしろ、待てができるんは必須やけど」
耳に慣れた音声が、物理距離を超えて椿には遠く感じる。僅かな重心の変化で床が軋む音すら、足を掬われそうだった。
途切れ途切れに聞こえてくる“猥談”。そういった話に椿は気恥ずかさを覚えるようなたちではない。というよりも、照れなど微塵も浮かばなかった。
椿の頭の中にあったのは、凄まじいまでの嫉妬だ。理性など容易く押し流す、泥濁流。清らかな雪解け水は山奥から流れていく過程で、泥を、木々を巻き込み、色を濁らせた。
そう濁らせた。清廉な愛情が劣情まじりの嫉妬になるように。聡明な男の目がくぐもった膜が巻かれるように。
彼女らは飼い犬の話をしているにすぎない。
だが椿は、向日葵は恋人に求める要素の話をしていると勘違いしてしまったのだ。
ここで彼が「別れないでくれ……!」と泣きすがったりすれば、このすれ違いはあっさり喜劇としてエンディングを迎えただろう。
だが、男はそんな情けない真似はしなかった。
理由は盗み聞きを行っている罪悪感だったり、胸のうちの仄暗い嫉妬を見せたくなかったりなど、数多あった。が、最大の理由は、愛する向日葵に格好いいところしか見せたくない意地だった。
椿の思考が、廊下の闇に混ざり合って、深みにはまる。
――自分に至らないところがあったのか。
――ひまちゃんの気持ちは俺が一番理解してると思っていたのは、驕りだったのか。
――ほかの男のほうがいいのか。
凍える表皮と裏腹に、自己嫌疑と嫉妬心が燃え盛り、止まない。暴力じみた衝動が鎌首をもたげる。
「駄目だ」と椿は思った。引き返して、外で頭を冷やそうと肩を引いた。
なのに、最後の一押しが聞こえる。
「いやでも、悩むわぁ。たまには大人しいんと遊びたい気持ちはあるので。今まであってきた子のことは忘れてな」
ドアのガラスにぼんやり顔が映る。
磨りガラスで良かったと、椿は頭の片隅で思った。今の自分の顔は、見れたものじゃないと察していたから。
一拍、二拍、三拍、置く。それだけの間では息を整えるにも足りなかった。一分、二分、三分、息を殺す。身体だけでなく、頭の奥まで冷たくなっていく。廊下で立ち尽くして、全てが凍り付いていく。なのに、なのに、押さえつけようと足掻く心臓だけが熱い。
……何分経ったあとだろうか。椿は自身の荒ぶる感情を胸の奥にしまいこんだ。仕舞い込むことに成功してしまって、笑みを浮かべる。普段しないノックをして、ゆっくりと扉を開ける。
向日葵は元気よく、画面から顔を上げた。椿が目配せをすると、手元の操作をして音声をミュートにする。片手で丸を作ってから「おかえり」と発声した。椿だけをみつめる彼女の笑みは、冷え切った指先がぼうっと痛くなるほど、温かい。向日葵はいつも通り、愛らしかった。当然だ。彼女からしてみれば、恥じるべきところなどないのだから。
椿は、意識的にゆっくりと唇の端を持ち上げる。彼女の様子と同じように、椿はいつも通りを取り繕った。
「ただいま。晩御飯、何にしようか」
その声の涼やかさといったら、誰が聞いても好青年だと意見を揃えるだろう。
向日葵はあっけらかんと笑う。
「俺の好きなもん!」
(略)
頂きましたお言葉
とても素敵な作品に仕上げて頂き大変嬉しく思います!
2人の関係性や、ベッドシーンでの表現や甘々な雰囲気がすごく好みの描写でトキメキました…!
それぞれの性格からの行動や台詞の解釈もピッタリで、本当に嬉しく思います。
大型犬な攻めと猫っぽい受けという構図が大好きなので満たされました…!
(SKIMAのメッセージより引用)
とても丁寧なご対応と、細かいヒアリングを重ねて頂き解釈通りで素敵な作品をご執筆頂きました!
文字数の多い依頼でしたが快くお引き受けくださり本当に感謝しております。
お取引くださりありがとうございました。
(SKIMAの評価より引用)
変更履歴
2025/02/14 小説ビューワー追加
2024/02/14 公開
お仕事募集中
テキスト作品のご依頼募集中
価格 1文字1円から
期間 7日~10日前後(文字数により変動)
愛が重いシチュエーション、綺麗な文章が得意です。
ご依頼お待ちしています!
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